■考察
数ヵ月後に遺伝性疾患と判った、その治療費や子犬を産めないことに対して購入代金の一部返金を求めたいとの内容です。 当初のケンネルコフもありますが、これは今回の問題とは切り離して考えるべきでしょう。
1、ショップの立場からの考察
遺伝性疾患と判っていたなら販売しなかったと言うでしょう。
当然販売すべきでなく、その親を交配犬として扱った繁殖者の問題です。お客様に対する責任は販売したショップにありますが、多分ショップでは仕入先の繁殖者に対してなんら折衝できないでしょう。 また流通過程から仕入先を特定できないこともあり得ます。
つまりショップにとって仕入代金を返金していただくことはないと考えるなら、お客様に対しての補償金額も極力少なくするでしょう。
■遺伝性疾患となれば、獣医の証明書を要求するでしょう。
■民法570条に「瑕疵担保責任」があります。
これは売買の対象が「その子犬」と言う「特定物売買」の場合、売買契約を結ぶ時にたとえ十分な説明をしていたとしても、それに欠点がないことを前提にしている訳です。
570条では売買の目的物にチョット見ただけでは判らない欠点、つまり「瑕疵」があれば治療費などの損害を請求できると規定しています。欠点を明示してその分を値引いているといった特殊なものでないかぎり、ペットショップにはこの責任が残り、契約を解除することもできる、と規定しています。
ただしお客様が損害賠償を請求できるのは、暇疵が発見されてから1年以内と限られていることも買う時に説明を受けていなくてはなりません。
まだわずかですが、最近は、これを元に返金していただいたケースも出てきています。
■ペット売買の慣習として、「ペットの返品・交換には一切応じません」との条項が目に付きます。
瑕疵担保責任を回避するためのものですが、ショップが病気や欠点を事前に知っていたにも関らず飼い主に告げなかったとしたら、 その責任は免れません。いかなる契約でも内容が公序良俗に反したり錯誤に該当する時は、無効になります。仮に知っていて販売したなら、詐欺罪に該当する可能性があります。
販売契約書や補償書がどのような内容になっているかです。遺伝性疾患は全く記載されていませんか?
■一定期間での死亡時、代犬補償だけですか?当然その範囲での補償を主張するでしょう。
生体販売は、特殊な販売ですから治療費に対して個別に補償していたら、このビジネスは非常に難しくなります。 従って共済補償などもある訳であり、それに加盟していたならその範囲の補償も可能でしょう。 ショップとしては、多分交換してくれたら最もコストが安く済むでしょうが、 お客様の感情が絡みますから物のように簡単に行かない所が、一番難しいことになります。ましては今後の治療費に対しては、一切応じたくないとなるでしょう。
2、お客様の立場からの考察
先天的な問題であり、治療費や当初支払った一部料金の返還を求めたい。今後の治療費も発生する。
愛情もあり、交換などには応じられない。
この立場の違いから、お客様はどの程度の補償を要求したいのか、またすべきなのかを考え、ショップに要求すべきでしょう。それに応じない時に弁護士を立てて訴訟に踏み切ることも一策と考えます。ショップ側は裁判自体が、信用失墜と時間の浪費であると考え、なんとか示談にしたいと考えるはずです。 常識のあるショップならの話ですが。開き直られたら、欠陥商品を売りつけられたとし、証明書を全て準備し弁護士に相談されたら良いでしょう。 |